うちの子供たちが録画して視ていたのをきっかけに自分も視るようになった、週刊少年ジャンプで原作が連載されている
『Dr.STONE』
「謎の現象により地球から文明が完全に無くなった世界で、主人公が科学知識を武器に文明を復活させようとする」
という骨子なんですが、何もない何も持たない状態で道具を一から作り出して野生の世界を生き抜き、さらに文明を作りだしたことがいかに大変な事だったか、という事を教えてくれる作品でもあると自分は思ってます。
先ずは石や植物から
主人公たち人類に降りかかった怪現象から3000年以上経った地球が物語の舞台なんですが、電子・電気機器等機械の類は言うに及ばず、金属・プラスティック・繊維・コンクリート等文明により生まれた素材自体が全く無い中、主人公は太古の人類が辿ったように
石を割って石器を
木や草などの植物を切ったり組んだりして住居や日用品を
捕獲した獣の皮を自分の口で噛んでなめして衣服
を作るんですよね。
劇中でも主人公は
「一人じゃ生活基盤作るだけで一日が終わる・・・」
という発言をしてるんですけど、何を作るにしても
「自分で材料を探して運んでくるところ」
から始めるわけですから、そりゃ一日それで終わるわな・・って視てて思いました。
「人力」から動力へ
様々な試練を乗り越えて新たな仲間を得た主人公は、協力を得ながら少しずつ動力や電気といった文明の産物を復活させていくのですが、ここもまた大変・・・
なんて言ったって自分の頭の中にある文明・科学知識以外何もない状態なわけですから
「素材」
から作らなくてはいけないわけです。
例えば「鉄」、川で砂鉄を集めて木炭(これは仲間になったキャラクターたちの村にもあった)と混ぜて、日本でも現実に行われてきた「たたら製鉄」の方法で作る訳ですが、材料集めはもちろん作る工程でも、炉に空気を送り込んで鉄の融点(約1500℃)まで温度を上げてキープする為に
「人力~マンパワー~」
が必要になるんですよね。
鉄の次に
「ガラス」
も復活させるんですが、これも主人公一人の力では先ず材料の在り処がわからない・・・
子供の頃から石(鉱物)を集めるのが好きだった仲間(主人公と同じ科学オタク)が「水晶」が取れる山を知っていたことでガラスの材料を手に入れ、村一番の職人(武具や橋・日用品など何でも作る)の協力も得て瓶などのガラス製品を作る事にも成功しますが、ここでも重要だったのは
「人力~マンパワー~」
だったわけです。
主人公と仲間たちは、その後も協力し合って様々な素材を「原材料」から作り出し最終的には川の水流を利用した
「水力発電設備」
と
「水力送風設備(前述の製鉄炉に繋がってる)」
を作り出し、村の生活を格段に豊かにすることに成功します。
視聴者の立場からすると、ストーリー進行の上1話~2話、時間にして30分~1時間でそれら完成品を目にすることになりますが、実際同じことやってみろと言われたら気が遠くなりますね・・・でも、我々の祖先は長い時間をかけてそれらを体現して文明を築き上げてきたわけですから、本当にありがたい話です。
まとめ~一つの頭、一つの身体から~
物語の中に出てくる、現代人の我々から見れば至って原始的な道具・設備も
- 主人公の頭の中の科学知識
- 登場キャラクター一人ひとりが費やした労力
によって生み出されたもの、言い換えれば
「一つずつの頭と身体」
を合わせて生み出されたものなんですよね。
現代ではそれら知識・労力を
「お金」
で買ってくるのがほとんどなわけですが、世の中にあふれる物品・サービスにはそれを考え、生み出し、受け継いできた
「人々の力」
が奥底に息づいてることを忘れないようにしよう、と改めて思わせてくれる作品だと思います。
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