貫くスタイル~ドラマ「俺の話は長い」~

先週土曜日放映分で最終回を迎えた日本テレビ系ドラマ

『俺の話は長い』

主演の生田斗真さんが「屁理屈が得意な30代のニート男」を見事に演じてらっしゃいましたね♪

今まで色んなドラマの中にニートのキャラクターが登場してきましたが、今回の生田さん主演のドラマって「ニートの切り口」が斬新というか、今までのドラマでは見られなかった描かれ方だったように感じるんですよね。

ニートではあるが引きこもってはいない

生田さん演じる主人公の岸辺満(きしべみつる)は、大学を中退してコーヒー専門店を開くも一年足らずで事業に失敗して、それ以降就職もせず家業(喫茶店)も継がず31歳になった時点でも実家暮らしでニート継続中、というキャラクターなんですよね。

ただ、これまで他のドラマ等で見てきたニートと違う、と感じる所は

「ニートではあるが引きこもりではない」

という点。

母親の用事(買いものや亡父の墓参りの運転手)を請け負った際お釣りをごまかして小遣いを得ている(セコイ!!苦笑)以外にも、平日水曜に近所のグラウンドで行われる不動産屋さん同士の草野球の審判(不動産業界は縁起を担いで水曜日を休業にする所が多いため)を務めて謝礼金という形で日銭を稼ぐこともあるし、西村まさ彦さん演じる実家の喫茶店の常連客と口喧嘩したり、夜にはBarに行って店の人達と喋ってたりするんです。つまり

「外界(人も含めて)と関わり合いを維持してる」

んですよね。

これまでのドラマ等で描かれてきたニートってほとんどが

「引きこもり」

「とある事情(過去のひどいイジメやパワハラ等)で人との関わり合いを持てなくなってしまった」

というキャラクター設定ばかりだった気がするんですよね。

自分は常々そこを

「視聴者が納得しやすい理由設定にこだわり過ぎじゃないか??」

と思ってたんですよね。

働きだしたかどうか最後までわからない

30代に入ってもニートというキャラクター設定自体は、過去にも同じ日テレ系土曜ドラマ「ど根性ガエル」(2015年7月~9月。原作から16年後の後日談という設定)の主人公・ひろし(演:松山ケンイチさん)の例もありますが、ひろしの場合と満の場合の大きな違いは

「劇中では働き出したかどうかわからない」

という点なんですよね。

ひろしは、離婚して出戻ってきた幼馴染の京子ちゃんにプロポーズするも断られた事をきっかけに一念発起して仕事にも就いて昔の「ど根性ぶり」が蘇っていくのですが、満の場合は就職したのか、そのままニートを続けるのか、実家を継ぐのかどうかは、劇中でははっきりわからないまま、人間的な部分も変わらないんです。

これまでの他のドラマ等での描き方だと、ニートのキャラクターはストーリー中盤~最終回で就職、又は学校に行き直す・留学する等生活が変わるだけでなく

「性格的な部分までもすっかり変わった」

かのような描き方されてた記憶しかないんですよね。

別の言い方すれば

「ニートという病気に罹っていた」

かのような描き方されていたんですよね。

認められる部分は認められてる

物語の見どころは、満と自宅リフォーム期間中家族連れで実家に一時転居してきた姉の綾子(バツイチのキャリアウーマンで、中学生の娘と再婚した夫が不仲なのを悩んでいる。)との屁理屈合戦(大抵満が勝つ)なんですが、この小池栄子さん演じる姉の綾子も、未だに働こうとせず屁理屈をこねまわして自分を正当化する弟に業を煮やしながらも、満の説得や立ち振る舞いで娘の不登校が解消したことと、娘と現夫との関係に改善(厳密には復調)の兆しが表れた事に関しては、素直に感謝の弁を述べているんですね。

「家族だから当たり前じゃん」って言ってしまえばそれまでですが、これまでのドラマだと、ニートの家族は良くて腫物扱い、ひどい時は完全に厄介者・一家の恥・いっそ死んでくれたらいいのに的扱いの描き方されてる作品もあったのに、この作品では「働かない事」・「それを屁理屈で正当化する事」・「お使いの釣銭をごまかす」といった

「言動・行動」

に対して非難はしても

「当人個人とその存在自体を否定する描写」や

「その意思を持っている(持っていた)描写」

はないんですよね。

「自分のスタイル」は変えない

あまり書くとネタバレになるので詳細は控えますが、満自身は物語の最後まで

「基本の満スタイル」

は変えないんですよね。

もちろん、色んな人との関わり合い(安田顕さん演じる義兄の光司や倉科カナさん演じる行きつけのBarのオーナー等)や周囲の変化の中で、変化していく部分は変化の様子を見せるんですが、基本的には

「満のまま」

なんですね。

これまでのドラマ等だと、劇中でまるで「人格自体が変わった」かのように快活になって何かに取り組み出したりする、といった描写がほとんどで、見るたびにそういった

「世間で望ましいとされる型にはめるかのような描写」

に違和感を感じずにいられませんでした。

あとがき

ニートという世間的には

「あまり褒められた生き方ではない生き方」

をしている男が主人公で、しかも主人公が

「最後まで基本キャラクターが変わらない」

自分としては、今後のドラマの形に新たな可能性を開く作品だと思います。

未だに「苦境に負けない明るい前向きな障がい者しか描かないドラマ」をそのコンテンツに含む

「某長時間チャリティー標榜番組」

と同じ局が作ったドラマとは思えないですね(笑)。

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